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明日に架ける橋

易のこと、音楽のこと、クルマのこと、その時どきの話題など、まぁ、気が向くままに書いています。

乾為天

01 乾為天(けんいてん)
keniten.gif 乾下乾上(けんか けんじょう)

八卦のkenten-n.gif乾(けん)を重ねた形だから、乾と言う。
同じ八卦を重ねた六十四卦は、計八つあるわけだが、それぞれ、その八卦と同じ名で呼ばれる。

乾とは、すこやか、かわかす、といった意味。
六本すべてが陽なので純陽であり、陽は、その性は剛、その徳は健やか、その体は円満、その用は進み動き、精粋盈実の至りであり、勉めて行うこと止まない徳がある。
従って、その陽の特質をもって乾と名付けられた。

卦辞
乾元亨、利貞
乾は元(おおい)に亨(とお)る、貞(ただし)きに利(よろ)し、

易の卦辞には、貞という文字がよく出てくるが、その場その場で、意味合いに多少違いがある。
易経の訳本の中には、「貞(てい)に利(り)あり」と、意味合いを考えずに、どんな場合でも、同じように貞(てい)と読み下すことも多い。
他の漢字についても同様の傾向があるようだ。
しかし、それでは、意味がすんなりとはわからない。
そこで私は、江戸時代後期の名著、眞勢中州の『周易釈故』を参考に、意味を汲みながら読みくだす。
要するに、これから書いて行くことは、その『周易釈故』に書かれている中の一部を、現代語に翻訳して紹介しているようなものだ。

さて、その意味を汲む際に、重要なポイントがある。
そのひとつが、貞の字の意味だ。
貞節、貞操などという言葉があるが、易経の中では、貞は、三つの意味合いで使われる。
貞正=ただしい、貞常=つね、貞固=かたい、である。
前後の文脈、卦象との関係から、貞がこの三つのうちのどの意味合いで使われているのかを把握して、読み解く。
そうすれば、すんなり読めるのだ。
この貞の意味を曖昧にするから、易は難解だ、ということにもなるのだ。

さて、陽の特質は、先に掲げたように剛健円満進動精粋盈実・・・である。
このようであれば、どんなことでも成し遂げらよう、だから、元いに亨る、と言う。
また、乾を天とし、君とし夫とし、坤を地とし、臣とし妻とする。
乾天は陽徳にして、率先して坤地に働きかけることだ。
その始めが雨だ。
天が地に雨を施し、地はその施しに従い、雨を承けることで、
草木百物が発生するのだ。
雨とは、人事について言えば仁であり愛情である。
上の者が下の者にまず愛情をかけることで、上下両者は心が通じる。
乾なる上の者が、下の者から愛情をかけられることを待っているようではいけない。
それでは、乾の道に反する。
乾の特性に従った貞正の行いをするべきである。
だから、元いに亨る、と言い放つのみではなく、貞しきに利ろし、と戒めているのだ。


彖伝(原文と書き下しのみ)
大哉乾元、万物資始、乃統天、
大(おお)いなる哉(かな)乾(けん)の元(げん)は、万物(ばんぶつ)資(と)りて始(はじ)む、乃(すなわ)ち天(てん)を統(す)ぶ、

雲行雨施、品物流形、
雲(くも)行(ゆ)き、雨(あめ)施(ほどこ)し、品物(ひんぶつ)形(かたち)を流(し)く、

乾道変化、各正性命、保合大和、乃利貞、
乾道(けんどう)変化(へんか)して、各(おの)おの性命(せいめい)を正(ただ)しくせり、大和(だいわ)を保合(ほごう)せんとならば、乃(すなわ)ち貞(ただ)しきに利(よ)ろし、

大哉乾乎、剛健中正純粋精、六爻発揮旁通情、
大(おお)いなる哉(かな)乾(けん)なる乎(かな)、剛健(ごうけん)中正(ちゅうせい)純粋精(じゅんすいせい)、六爻(ろっこう)に発揮(はっき)して旁(あまね)く情(じょう)に通(つう)ぜり、

大明終始、六位時成、時乗六竜、以御天、
大(おお)いに終始(しゅうし)を明(あき)らかにして、六位(りくい)時(ここ)に成(な)れり、六竜(りくりょう)に乗(じょう)じて、以(も)って天(てん)に御(のっとりおさ)む、

首出庶物、万国咸寧、
庶物(しょぶつ)に首出(しゅしゅつ)して、万国(ばんこく)咸(ことごと)く寧(やす)し、


象伝(原文と書き下しのみ)
天行乾、君子以自彊不息、
天(てん)の行(ぎょう)は乾(けん)なり、君子(くんし)以(も)って自(みずか)らを彊(つとめ)て息(やま)ず、


ここに書いているのは、江戸後期の名著、眞勢中州の『周易釈故』より抜粋し、現代語で意訳したものです。
漢字は原則として新字体で表記しています。
易の初歩的なことについては、
私のサイトの易学入門ページをご覧ください。
また、六十四卦それぞれの初心者向け解説は、オフラインでもできる無料易占いのページをご覧ください。占いながら各卦の意味がわかるようになっています。


☆ 旧約聖書~天地創造との一致 ☆

ところで、キリスト教の『旧約聖書』冒頭には、神が六日間でこの世界を造った、という神話がありますが、この場面での神の行動は、六十四卦の序次の順と同じなのです。
第一日目は、序次最後の64火水未済と、序次冒頭の01乾為天、02坤為地、03水雷屯、04山水蒙の計5卦の意味するところと一致します。
第二日目は、続く05水天需、06天水訟、
第三日目は、続く07地水師、08水地比、
第四日目は、続く09風天小畜、10天沢履、
第五日目は、続く11地天泰、12天地否、
第六日目は、続く13天火同人、14火天大有、
の意味するところと一致します。

これは単なる偶然の一致でしょうか?
あるいは、易はすべてを見通していて、どんなことでも易経の卦辞や爻辞のとおりに動くからでしょうか?
いや、そんなことはありません。
だから、未来を知るためには、筮竹で占うことが必要なのです。
では、このキリスト教との一致はどういうことなのでしょうか?
それは、『聖書』の物語が、易の理論を利用して作られたものだったからに他なりません。
・・・と、これだけを取り上げて言っても、説得力は弱いでしょう。
しかし『聖書』に書かれた物語は、ほかにもいろんなことが易の理論と共通していて、それらは六十四卦の序次によって幾何学的に繋がっているのです。
易を知らなければ、神学者や聖書研究者がいくら頑張っても、まったくわからないことでしょう。
しかし、易を少しでも知っていれば、誰でも容易にわかることなのです。
詳細は拙著『聖書と易学-キリスト教二千年の封印を解く』についてのページをご覧ください。
聖書と易学―キリスト教二千年の封印を解く聖書と易学―キリスト教二千年の封印を解く
(2005/04)
水上 薫

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ちなみに表紙の右下のほうに白線で示しているのは、08水地比の卦象です。
キリスト教のシンボル十字架と中心教義の「愛」は、08水地比の卦象がもらたす意味と一致しているのです。

(C) 学易有丘会


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