
17 沢雷随(たくらいずい)
随 震下兌上(しんか だじょう)
八卦の
震(しん)の上に、
兌(だ)を重ねた形。
随は、したがう、という意。
易位生卦法によれば、元は雷沢帰妹である。
雷沢帰妹のときは、震の長男が兌の少女の上に位置していたが、今、この沢雷随の卦は、震の長男が兌の少女の下に下り随っている様子となる。
だから、随と名付けられた。
そもそも天地の定理では、男は尊く女は卑しい、長は尊く少は卑しい、である。
しかしこの卦は、男が女の下に下り、長が少の下に下っている。
これは、本来随わせるべき者に随っていることであって、随い難き道である。
だから、その随い難きを随うことの重要性を鑑みて、随と名付けられた。
これは、天沢履の履み行い難きをもって卦名としたのと同じスタンスである。
また、内卦を自分とし、外卦を相手とし、震を動くとし、兌を悦ぶとすれば、自分が動いて相手を悦ばせ、自分が積極的に相手に随う様子である。
だから、随と名付けられた。
また交代生卦法によれば、元は天地否から来たものとする。
天地否の上九の爻が来たり下って初九となったのが、この沢雷随である。
これは、高く卦の極に居た一陽剛が、初九の最下の地に下って、他の五爻の下に随っている様子である。
だから、随と名付けられた。
また、上卦の兌は二陽の尊きをもって一陰の卑しきに下り随い、下卦の震は一陽の尊きをもって二陰の卑しきに下り随っている。
このように上下とも、陽をもって陰に下り随っているのがこの卦である。
だから、随と名付けられた。
卦辞
随、元亨、利貞、无咎、
随(ずい)は、元(おお)いに亨(とお)る、貞(ただ)しきに利(よ)ろし、咎(とが)无(な)し、
およそ天下万般のことは、人に随い従って行うときには、その事業は容易であり、容易であればこそ、成し遂げることができるものである。
だから、随うということを念頭に行えば、物事は元いに亨るのである。
そもそも人に随うときには、一にも二にも、正しくすることが大事であり、そのようであれば、咎められることはない。
これが、悪に随い、邪に随うようであれば、言わずもがな、大いに咎められるものである。
だから、貞しきに利ろし、咎无し、という。
彖伝(原文と書き下しのみ)
随、剛来、而下柔、動而説、随、
随(ずい)は、剛(ごう)来(き)たりて、而(しこう)して柔(じゅう)に下(くだ)る、動(うご)きて而(しこう)して説(よろこ)ぶは、随(ずい)なり、
大亨以正、故无咎、而天下随之、随之時義大矣哉、
大(おお)いに亨(とお)るに正(ただ)しきを以(も)ってす、故(ゆえ)に咎(とが)无(な)し、天下(てんか)之(これ)に随(したが)う、随之時義(ずいのときのぎ)大(だい)なる哉(かな)、
象伝(原文と書き下しのみ)
沢中有雷、随、君子以嚮晦入宴息、
沢(さわ)の中(なか)に雷(かみなり)が有(あ)るは、随(ずい)なり、君子(くんし)以(も)って晦(くら)きに嚮(むか)って入(い)りて宴息(えんそく)すべし、
ここに書いているのは、江戸後期の名著、眞勢中州の『周易釈故』より抜粋し、現代語で意訳したものです。
漢字は原則として新字体で表記しています。
易の初歩的なことについては、
私のサイトの易学入門ページをご覧ください。
また、六十四卦それぞれの初心者向け解説は、オフラインでもできる無料易占いのページをご覧ください。占いながら各卦の意味がわかるようになっています。
なお易は、中国や日本だけではなく、遠くユダヤやローマにも多大な影響を及ぼしました。
聖書と易経を比較すれば容易にわかることなのですが、キリスト教は易の理論を巧みに利用して作られた宗教だったのです。
詳細は拙著『聖書と易学-キリスト教二千年の封印を解く』についてのページをご覧ください。
ちなみに表紙の右下のほうに白線で示しているのは、08水地比の卦象です。
キリスト教のシンボル十字架と中心教義の「愛」は、08水地比の卦象がもらたす意味と一致しているのです。
(C) 学易有丘会

八卦の


随は、したがう、という意。
易位生卦法によれば、元は雷沢帰妹である。
雷沢帰妹のときは、震の長男が兌の少女の上に位置していたが、今、この沢雷随の卦は、震の長男が兌の少女の下に下り随っている様子となる。
だから、随と名付けられた。
そもそも天地の定理では、男は尊く女は卑しい、長は尊く少は卑しい、である。
しかしこの卦は、男が女の下に下り、長が少の下に下っている。
これは、本来随わせるべき者に随っていることであって、随い難き道である。
だから、その随い難きを随うことの重要性を鑑みて、随と名付けられた。
これは、天沢履の履み行い難きをもって卦名としたのと同じスタンスである。
また、内卦を自分とし、外卦を相手とし、震を動くとし、兌を悦ぶとすれば、自分が動いて相手を悦ばせ、自分が積極的に相手に随う様子である。
だから、随と名付けられた。
また交代生卦法によれば、元は天地否から来たものとする。
天地否の上九の爻が来たり下って初九となったのが、この沢雷随である。
これは、高く卦の極に居た一陽剛が、初九の最下の地に下って、他の五爻の下に随っている様子である。
だから、随と名付けられた。
また、上卦の兌は二陽の尊きをもって一陰の卑しきに下り随い、下卦の震は一陽の尊きをもって二陰の卑しきに下り随っている。
このように上下とも、陽をもって陰に下り随っているのがこの卦である。
だから、随と名付けられた。
卦辞
随、元亨、利貞、无咎、
随(ずい)は、元(おお)いに亨(とお)る、貞(ただ)しきに利(よ)ろし、咎(とが)无(な)し、
およそ天下万般のことは、人に随い従って行うときには、その事業は容易であり、容易であればこそ、成し遂げることができるものである。
だから、随うということを念頭に行えば、物事は元いに亨るのである。
そもそも人に随うときには、一にも二にも、正しくすることが大事であり、そのようであれば、咎められることはない。
これが、悪に随い、邪に随うようであれば、言わずもがな、大いに咎められるものである。
だから、貞しきに利ろし、咎无し、という。
彖伝(原文と書き下しのみ)
随、剛来、而下柔、動而説、随、
随(ずい)は、剛(ごう)来(き)たりて、而(しこう)して柔(じゅう)に下(くだ)る、動(うご)きて而(しこう)して説(よろこ)ぶは、随(ずい)なり、
大亨以正、故无咎、而天下随之、随之時義大矣哉、
大(おお)いに亨(とお)るに正(ただ)しきを以(も)ってす、故(ゆえ)に咎(とが)无(な)し、天下(てんか)之(これ)に随(したが)う、随之時義(ずいのときのぎ)大(だい)なる哉(かな)、
象伝(原文と書き下しのみ)
沢中有雷、随、君子以嚮晦入宴息、
沢(さわ)の中(なか)に雷(かみなり)が有(あ)るは、随(ずい)なり、君子(くんし)以(も)って晦(くら)きに嚮(むか)って入(い)りて宴息(えんそく)すべし、
ここに書いているのは、江戸後期の名著、眞勢中州の『周易釈故』より抜粋し、現代語で意訳したものです。
漢字は原則として新字体で表記しています。
易の初歩的なことについては、
私のサイトの易学入門ページをご覧ください。
また、六十四卦それぞれの初心者向け解説は、オフラインでもできる無料易占いのページをご覧ください。占いながら各卦の意味がわかるようになっています。
なお易は、中国や日本だけではなく、遠くユダヤやローマにも多大な影響を及ぼしました。
聖書と易経を比較すれば容易にわかることなのですが、キリスト教は易の理論を巧みに利用して作られた宗教だったのです。
詳細は拙著『聖書と易学-キリスト教二千年の封印を解く』についてのページをご覧ください。
![]() | 聖書と易学―キリスト教二千年の封印を解く (2005/04) 水上 薫 商品詳細を見る |
ちなみに表紙の右下のほうに白線で示しているのは、08水地比の卦象です。
キリスト教のシンボル十字架と中心教義の「愛」は、08水地比の卦象がもらたす意味と一致しているのです。
(C) 学易有丘会


