
平成20年2月11日
今日は紀元節『日本書紀』にある神武天皇即位の日だ。
正確に言うと、正月一日に即位とあるのだが、
これは旧暦であって、現行の新暦(グレゴリオ暦)に換算すると、
二月十一日になるのだ。
とにかく、この日から、天皇陛下を中心とした日本が始まったことになる。
だから、日本と天皇の紀元の日として、紀元節と呼んでお祝いした。
戦後は、マッカーサーの占領政策により禁止されたが、
講和条約締結後は、各界の熱望もあり、
ついに昭和四十一年、「建国記念の日」として復活した。
その神武天皇が即位してから、今年で二千六百六十八年目になる。
したがって今年、平成二十年は、皇紀2668年となる。
しかし、
その神武天皇即位年は、『日本書紀』編纂の頃に、
中国の辛酉革命思想を利用し、
机上で算出された架空の年代だとされている。
辛酉革命(しんゆうかくめい)とは、
実際の暴力革命などのことではなく、
六十干支が辛酉の年には天命が革(あらた)まる、
とするとともに、
干支二十一巡の1260年毎の辛酉年には大革命が起きる、
とするものであって、
このことは、『易緯』(えきい)という本に書かれている。
緯と呼ばれる本に書かれた予言思想(讖=しん)だから、
讖緯説(しんいせつ)とも呼ばれている。
『易緯』とは、『易経』の弟分みたいな本で、
漢代にできたらしいと言われている。
経とは、この世の縦糸となる書物、
緯とは、この世の横糸となる書物。
縦糸と横糸があって、布ができるわけだが、
この経書と緯書が合わさって、この世の出来事のすべてを、
布のように覆い尽くすことができる、
と漢代の中国では考えた。
したがって孔子が編纂したとされる重要な書物の、
詩経、書経、春秋経、易経などの横糸として、
詩緯、書緯、春秋緯、易緯などが作られた。
ただしこれら緯書は、災害予言などが多く、
世間を惑わすものとして、中国では隋の時代に、焚書にされている。
一方、日本では、中国のようなヒステリックな排斥運動はなく、
断片的にだが、残った。
その断片が残っていたからこそ、神武天皇の即位年が、
『易緯』にある辛酉革命思想によって机上で算出された架空の年代だと、
論じられるようになったのである。
しかし、その辛酉革命思想によって机上で算出されたものは、
何も日本の神武天皇だけではない。
西洋のイエス・キリストの生誕も同様なのである。
易の理論を紐解きながら聖書やその周辺の神話を検証してみると、
西暦元年が辛酉革命思想によって机上で算出されたものだということは、
簡単にわかるのである。
西暦元年だけではない、
ユダヤ暦元年も辛酉革命思想の計算式から算出されている。
易を知らない西洋人や、キリスト教関係者、
キリスト教に憧れる人々は、
神武天皇をお祭りする橿原神宮の関係者のように、
そんなことがあるわけない、と、敢えて目を背けることだろうが、
易と辛酉革命を知っていれば、
誰でも簡単に作れる単純な計算式なのである。
そもそもキリスト教の教義は、中国古典の『墨子』の内容と酷似していて、
昔から中国古典の研究者の中には、
墨子の思想が西に伝わり、キリスト教になったのではないか?
と指摘する声もある。
また、墨子の思想とキリスト教の教義が酷似していることは、
西洋の中国古典研究者も指摘している。
ただし、やはりキリスト教を擁護したいのか、
西洋では、それ以上に突っ込んだ研究はないようだ。
そこで私は、独自に調べ、本にまとめた。
それが拙著
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である。
イエスが架空の人物であること、
西暦元年が辛酉革命思想により机上の算出されたものだということから、
『聖書』の構造が易六十四卦の序次によって形成されていること、
神秘で摩訶不思議な奇跡は、中国古典にあるエピソードや、
易の理論から導き出した寓話に過ぎないことなど、
とにかく『聖書』が中国古典をリメイクして作られたものだということを、
論証している。
無論、なぜそのようなことがなされたのか、
ということにも言及している。
今の常識では、西洋人が中国古典をリメイクして、自らの宗教にするなんて信じられない。
そもそも西洋人が、東洋のそれも卑俗な占いの理論をパクッて宗教にするなんて有り得ない、
第一、キリスト教では、占いを禁止しているではないか・・・、という声も聞こえてくる。
しかし、権力者は、自分の権力保持に都合の悪いことを禁止するものである。
要するに、キリスト教は、占いに基づいて作られた宗教だということがバレるから、占いを禁止したのに違いない。
ともあれ、西洋思想の呪縛から開放され、東洋人としての本来の価値観を見直したい、
という思いで書いたという側面もある。
現代は、キリスト教に起因する西洋思想によって社会秩序を構築したからこそ、地球温暖化を招いてしまったわけだ。
これ以上の温暖化を防ぐためには、より多くの人々が、東洋思想~中国古典の真髄『易』を見直すことだと思う。
そのためにも、よろしければ、ご一読ください。
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